下記に下腹部、陰部の違和感を引き起こす代表的な疾患をまとめます。
下腹部・陰部の違和感、陰嚢の痛み・腫れ
下腹部・陰部の違和感、陰嚢の痛み・腫れ

下記に下腹部、陰部の違和感を引き起こす代表的な疾患をまとめます。
急性前立腺炎とは、大腸菌などの細菌が尿道から侵入し、前立腺に感染することで起きます。症状としては、高熱(発熱)や排尿困難、排尿痛や残尿感、頻尿、全身倦怠感が生じます。急激に悪化した場合、敗血症などを併発する危険性があるため早期治療が重要です。尿検査、血液検査を行って細菌感染の有無を判断し、細菌感染による炎症とわかった場合には、抗生物質による治療が有効です。抗生物質は内服薬の処方、または点滴による投与を行います。
慢性前立腺炎は長時間座ったままの姿勢を取り続ける人、働き盛りの20-40代に多いのが特徴です。会陰部の不快感、排尿時排尿後の痛み、射精時射精後の痛み、精液に血が混じるなどの症状が現れます。治療は症状によって異なりますが、症状が改善するまでに数ヶ月かかることもあります。
慢性前立腺炎の方にエムセラを使用すると、症状が軽減されることも期待できます。
膀胱炎は女性に多い尿路感染症で、主な症状として頻尿、血尿、排尿時の痛みが挙げられます。原因の多くは、尿道から侵入した細菌が膀胱内で増殖することによるもので、最も一般的な原因菌は大腸菌です。治療には抗生剤が用いられ、通常は数日で改善します。ただし、膀胱炎を放置すると、感染が腎臓へ広がり腎盂腎炎を引き起こすことがありますので、膀胱炎の疑いのある症状が出た場合、早めの受診をお勧めします。
膀胱結石は尿路結石の一つで、腎臓でできた結石が尿管を通って膀胱まで落ちてきて、そのまま膀胱内にとどまってしまったものです。膀胱まで落ちてきた結石は通常は自然と体外に排出されることがほとんどですが、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの排尿障害がある場合には膀胱結石となり、徐々に増大することがあります。下腹部の違和感や排尿時痛、血尿、尿路感染症の原因となりえます。
性感染症も下腹部、陰部の違和感の原因となり得ます。
骨盤臓器脱も下腹部、陰部の違和感の原因となり得ます。
これら以外にも原因となる疾患はありますので、たいしたことないと放っておかず、診察、検査を受けることが大切です。
下記に陰嚢の痛み、腫れを引き起こす代表的な疾患をまとめます。
精巣上体炎は、精巣の後ろにある「精巣上体(副睾丸)」という細い管に炎症が起こる病気です。精巣上体は精子を運ぶ大切な器官で、ここに細菌などが入り込むことで炎症が生じます。多くの場合、尿道から侵入した細菌が原因となり、若い方では性感染症、中高年では尿路のトラブルに伴って起こることがあります。
治療は抗生剤の内服となります。炎症や痛みが強い場合には鎮痛消炎薬の内服も行います。安静も大切です。多くの場合、治療を始めると数日で症状が改善しますが、完全に治るまでには1-2週間ほどかかることがあります。
精巣捻転は、精巣につながる血管(精索)がねじれて血流が止まってしまう緊急の病気です。突然、片側の精巣(睾丸)に強い痛みや腫れが起こります。好発年齢は出生後すぐと10歳代です。
痛みは「急に」「強く」出るのが典型的です。右側よりも左側に起こりやすく、明け方に痛み出すことが多いです。
発症してから6時間がゴールデンタイムとされており、それまでに緊急手術でねじれを解除してあげないと、精巣が壊死してしまう可能性が高まります。疑われたらすぐに受診し診察を行うことが望ましいです。
陰嚢水腫は、精巣(睾丸)のまわりに液体がたまって陰嚢が腫れる状態のことです。精巣は「精巣鞘膜(しょうまく)」という膜に包まれていますが、その膜の間に液体が過剰にたまることで起こります。発症の原因として、精巣や精巣上体の炎症、外傷、特発性(原因不明)などがあげられます。
治療は手術が勧められます。注射でたまっている水を抜くこともできますが、再発してくることがほとんどです。
精索静脈瘤とは、精巣(睾丸)につながる静脈が拡張し、こぶのように膨らんだ状態になる病気です。足の静脈瘤と似た仕組みで、血液が逆流して静脈にたまりやすくなることで起こります。特に左側に多くみられます。
症状が軽い場合は気づかないこともあります。慢性的な不快感が続くことがあります。
診断は、臥位と立位で陰嚢のふくらみを確認し、超音波検査で拡張した静脈瘤の確認を行います。
治療は手術が中心です。近年では顕微鏡を使う「顕微鏡下手術」が、再発が少なく合併症も少ないため一般的となっています。すべての精索静脈瘤で治療が必要なわけではなく、陰嚢の痛みや不快感が続く場合、不妊の原因として疑われる場合、成長期の男性で精巣の大きさが左右で明らかに違う場合などに手術を検討します。
精索静脈瘤は男性の10~20%に見られ、不妊男性では40%に見られるといわれています。
精巣は体温より約2度低い温度で最もよく働きます(陰嚢が体の外に出ているのはそのためです)。しかし、静脈瘤で血流が滞ると温度が上がり、精子の生成に悪影響を与えます。具体的には、精子数の減少、精子運動率の低下、精子のDNA損傷の増加などが起こり、妊娠率の低下につながります。
精索静脈瘤手術により精子のDNA損傷が減少し、精子形成の改善が望めます。術後の妊娠率は6割程度とする報告もあります。精索静脈瘤は男性不妊の中で「治療可能な原因」として最も重要です。
陰嚢が大きくなってきた場合には、精巣腫瘍の可能性もあります。通常痛みはなく、精巣を固く触れます。
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